「第50回 放射線環境・安全に関する研究会」印象記
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「最近の放射線審議会での検討状況について」という演題で長崎大学原爆後障害医療研究所横山須美教授による講演が2023年10月11日岐阜県土岐市にある核融合科学研究所で行われた。
最初に演者が所属されている長崎大学についての紹介があり、長崎大学では地球の平和を支える科学を創造という理念のもと、感染症分野での貢献を軸にしたグローバルヘルスから、地球環境(プラネタリーヘルスへ)の実現に貢献する方向を目指している。医学部が発祥であり、長崎医科大学を経て、原爆被災により数多くの学生や教員が亡くなり、1962年に医学部に原爆後障害医療研究施設が設置されたとのことである。
続いて放射線審議会の活動状況について報告されICRP2007年勧告による我が国への法令取り入れについては、内部被ばく線量換算係数に関する基礎データが放射線従事者に対しては出されたものの一般公衆に対してはこれからという状況であり、法令改正はまだ先になる模様であると紹介された。
また、最近の放射線審議会において、我が国における過去のラドン水準調査のレビューが紹介され、我が国は他国と比較して高くない状況であり、換気率の悪い家屋や、洞窟などの特殊な状況では高くなる傾向がある。発生源である自然起源放射性物質(NORM)については指針が出されているが、屋内ラドンについては、一般住居及び職場に関する調査を踏まえ対策レベルを検討するとされ先送りになっている。そのためこれまでの調査で不足している情報がないか追加調査の必要性等も含め議論されているとのことである。これまでラドン研究に従事されてきた飯田先生や下先生を交え過去の測定結果の傾向や測定手法などについて活発な議論が行われた。
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